相続登記に必要な書類とは?ケース別に必要書類を解説
相続登記とは、相続した不動産の名義を被相続人から相続人へと変更する手続きです。
2024年から相続登記は義務化となり、期限内に手続きをしないとペナルティがあります。
いままで相続登記を放置いていた不動産も対象となりますので、早めに対応しましょう。
そんな相続登記ですが、手続きの際には、いくつかの書類が必要です。
本記事では主に、相続登記に必要な書類と各書類の内容について司法書士が解説します。
相続登記に必要な書類一覧
下表が相続登記(不動産の名義変更手続き)に必要な書類です。
被相続人 |
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相続人 |
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その他 |
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相続登記に必要な書類の詳細
相続付き手続きの際に用意していただきたい書類の詳細を解説します。
被相続人の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍
被相続人の戸籍謄本、除籍津尾本、改製原戸籍は出生~死亡までの履歴が残っているものが必要です。
つまり、生まれたときに作成された戸籍謄本(筆頭者が親のものや、祖父母などのもの)から、その後筆頭者が変わって作成されたもの、法律の改正で再作成されたもの、結婚し新たに作成されたもの、転籍し新たに作成されたものなど、死亡までの履歴が残っているものでなければなりません。
それぞれ1通ずつ必要なわけではなく、出生から死亡まで繋げた戸籍謄本等を用意しなければなりません。
なお、法定相続情報一覧図を提出する場合は戸籍謄本等の提出は不要になります。
被相続人の住民票の除票(または戸籍の附票)
被相続人の住民票が必要です。
登記簿上の住所及び本籍地の記載のある住民票を用意してください。戸籍の附票でも構いません。
登記簿に記載されている人物と戸籍上で亡くなった方が同一人物であることを証明するために必要です。
本籍地と登記簿上の住所が同じ場合は、住民票等がなくても手続き可能です。
相続人の戸籍謄本
相続人の戸籍謄本が必要です。戸籍抄本でも手続き可能です。
不動産を相続する相続人だけではなく、法定相続人全員の戸籍謄本が必要です。
相続人の住民票
相続人の住民票が必要です。
住民票は不動産を相続する、つまり新たな名義人となる相続人の住民票だけで結構です。
固定資産評価証明書
相続登記をする年度の固定資産評価証明書が必要です。
固定資産評価証明書とは、簡単に言えば、固定資産税を算出するために必要な書類です。
なお、相続税の申告などの場合は、亡くなった年度のものが必要です。
固定資産評価証明書でなく、固定資産税納税通知書(課税明細書)でも相続登記には代用可能な場合もあります。
相続関係説明図
相続関係説明図が必要となることがあります。
相続関係説明図とは、相続関係を略図化したものです。
相続関係説明図の作成は手書きでも構いません。
相続関係説明図が必要となるケース
相続関係説明図は、提出した書類を返却してほしい際に用意します。
必要書類の原本は申請の際に法務局へ提出するのですが、そのままにしていては返ってこないのです。
なお、戸籍謄本等についてはを全てコピーを提出し原本還付処理する方法もあります。
遺産分割協議書
遺産分割協議書が必要となることがあります。
遺産は法によって相続割合が定められていますが、それ以外の方法で分割する場合に必要です。
遺産分割協議により、相続人間で相続人の誰が相続するか、相続する割合をどうするか自由に決めることができます。
相続人単独にすることも、相続人複数名の共有にすることも可能です。
遺産分割協議書には「相続人全員」が実印で押印する必要があります。
印鑑証明書
印鑑証明書が必要となることがあります。
印鑑証明書に期限はありません。
印鑑証明書が必要なケース
印鑑証明書は、遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を提出する場合に必要となります。
基本的には相続人全員分が必要です。
不在籍証明書、不在住証明書
不在籍証明書、不在住証明書が必要になることがあります。
各市町村の住民票や戸籍謄本の発行窓口にて取得可能です。
不在籍証明書、不在住証明書が必要となるケース
不在籍証明書、不在住証明書は住民票等の証明書類が取得できない場合に使用します。
登記済権利証があれば、別途取得しなくても構いません。
登記済権利証
登記済権利証が必要となることがあります。
登記済権利証とは、登記が完了した際に登記所から買主等の登記名義人に交付する書面です。
登記済権利証が必要となるケース
登記済権利証は、住民票等の証明書類が取得できない場合に必要となります。
登記済権利証が提出できる場合は、他の代替書類(不在籍証明書、不在住証明書等)は不要です。
上申書
上申書が必要となることがあります。
上申書とは、公的機関に対して意見や報告を申し述べるための書類です。
基本的には印鑑証明書もセットで添付しますので、別途用意が必要です。
上申書が必要となるケース
上申書は、住民票等の証明書類が取得できない場合や、戸籍謄本により相続関係を証明できない場合に必要となります。
必要書類に有効期限はある?
相続登記に必要な書類に有効期限はありません。古い書類でも利用できます。
相続人の戸籍謄本についても期限はありませんが、被相続人が亡くなった後に作成されたものが必要です。
なお、相続登記に使用する証明書には期限がありませんが、同様の相続の手続きでも銀行口座の相続の手続き等については、各銀行で有効期限を設けている場合もあります。
こんな場合は何が必要?ケース別の必要書類
相続時の状況によっては必要書類がプラスで必要、あるいは不要となることがあります。
また、相続人が外国人である、海外在住であるケースの必要書類も解説します。
遺言書がある場合の必要書類
被相続人の遺した遺言書がある場合は、一部書類が不要となることがあります。
具体的には、戸籍謄本等の書類を一部省略できます。何が省略できるかは遺言書の内容にもよります。
例えば、戸籍謄本すべてではなく、死亡の記載がある最後の戸籍謄本のみで済む場合などです。
なお、自筆証書遺言の場合は、相続登記申請前に家庭裁判所にて検認手続きが必要です。
相続放棄をした場合の必要書類
相続財産にはプラスの財産とマイナスの財産があります。
借金などのマイナス財産が多い場合、遺産の相続をすべて放棄することができます。
相続人が相続放棄した場合、家庭裁判所で「相続放棄申述受理証明書」が発行されます。
相続登記には、この相続放棄申述受理証明書が必要になります。
なお、相続放棄申述受理通知書でも代用可能です。
ちなみに、相続人が相続放棄したことによって、次順位の相続人に相続する権利が引き継がれます。
相続人皆さんが相続放棄したい場合、それぞれ相続放棄の手続きが必要なので注意してください。
相続人が相続登記前に死亡した場合の必要書類
相続登記の手続き前に相続人が死亡した場合、死亡した相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等と、死亡した相続人のさらに相続人の戸籍謄本も必要です。
もとの被相続人の相続登記と、死亡した相続人の相続登記、両方の手続きを行わなければなりません。
被相続人が外国人の場合の必要書類
被相続人が外国籍の場合、宣誓供述書に相続関係の旨を記載し、外国の公証人等に認証を受ける必要があります。
日本以外では基本的に戸籍制度がないので、相続人の証明として戸籍謄本の提出ができないからです。
また、被相続人が外国籍の場合は、適用される法律から調べる必要があります。
日本の法律では、相続は被相続人の本国法によると定められているからです。
そのため、被相続人が外国籍の場合は、相続人が日本国籍を持っている場合でも日本の法律は適用されません。法定相続人が日本とは異なることもあります。
相続人が外国人の場合の必要書類
相続人が外国籍の場合の必要書類は、相続人が日本に住んでいるかどうかで異なります。
日本に住んでいる場合は、居住地の市区町村で発行される住民票、印鑑証明書を通常通り利用できます。プラスで必要な書類はありません。
日本に住んでいない場合は、住民票や印鑑証明書を利用できません。
宣誓供述書やサイン証明書が必要となります。
海外在住の場合の必要書類
相続人が海外在住の場合、在留証明書と署名証明書(サイン証明書)が必要です。
相続人が海外在住の日本人の場合、住民票や印鑑証明書が発行されないため、その代わりとして提出しなければなりません。
在留証明書と署名証明書(サイン証明書)は領事館で発行してもらうことができます。
相続登記は専門家に依頼で安心
相続登記(不動産の名義変更)は必要な書類がたくさんあります。
法定相続人全員の書類が必要であったり、状況によっては追加で書類が必要だったりと、書類を集めるだけでも一苦労です。
また、相続登記に必要な書類は市区町村役場や法務局などで取得する必要があり、営業時間が平日の夕方頃までであることが多いです。
相続登記の専門家である司法書士にお任せいただければ、必要書類の取得代行~申請までご依頼いただけます。
時間がない、相続人が遠方、手続きに不安がある方はまずは専門家にご相談してみてください。
相続登記についてお困りでしたらご相談ください。
相続登記に関するご相談は当事務所にお任せ下さい。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
予約受付専用ダイヤルは0120-327-357になります。
相続手続丸ごとサポートの報酬
通常、信託銀行の遺産整理業務の料金は、最低100万円程度からとなっているケースが多いようですが、当事務所では15万円(消費税別)~となっております。
そのため、相続財産が多額でない場合でもご利用いただけます。
また、信託銀行に依頼した場合、遺産分割協議書の作成や不動産の名義変更手続については司法書士報酬として別途費用がかかりますが、当事務所では司法書士が遺産管理人を引き受けておりますので、これらの手続きについても料金の範囲内で対応いたします。
相続財産の価額 | 報酬額 |
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200万円以下 | 220,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 275,000円 |
500万円を超え5000万円以下 | 275,000円~869,000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 869,000円~1,419,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 1,419,000円~2,959,000円 |
3億円以上 | 2,959,000円~ |
この記事を担当した司法書士
みなみ司法書士事務所
代表
光山 仁煥 (みつやま ひとし)
- 保有資格
司法書士、簡裁訴訟代理等関係業務認定、一家族信託普及協会正会員、日本財産管理協会認定会員、 成年後見センター・リーガルサポート登録司法書士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託
- 経歴
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みなみ司法書士事務所の代表を務める。生前におけるご自身の「財産管理」のサポートから亡くなった後の相続手続きまで最適なサポートを実施している。現在では民事信託にも力を入れており、相談者からの信頼も厚い。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信 頼も厚い