期限注意!相続手続きには期限が!放置するデメリットとは
ご存じでしたか?
相続手続きには「期限」があります。
大切なご家族を失い、悲しみ中、すぐには動き出せないかもしれません。
しかし、この相続手続きの期限を過ぎてしまうと、不利益を被ることもあります。
各相続手続きの期限を知り、期限内に手続きを終えられるようにしましょう。
そもそも相続手続きを放置するデメリットとは
期限のある相続手続きを放置すると、残念ながらデメリットがあります。
相続手続きの期限を過ぎてしまった際に起こり得るデメリットを解説します。
1.税金の軽減制度を活用できない
ご状況によっては相続税を減額できる制度があります。
しかし、手続きの期限を過ぎてしまうと税金の軽減制度を利用できなくなります。
例えば、下記のような軽減制度があります。
- ・配偶者に対する税額軽減
- ・小規模宅地等の特例
- ・農地等の納税猶予の特例
- ・非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例
- ・障がい者の税額控除
対象の方はこれらの制度を利用することで節税ができます。
期限内に手続きをしましょう。
2.税金を多く納付しなければならない可能性がある
相続手続きを過ぎてしまうと、納税額が増額となることがあります。
相続税の申告・納付が遅れますと、延滞税が発生するからです。
3.過料をとられる
期限がある相続手続きの中には、ペナルティのある手続きも存在します。
刑事罰ではありませんが、過料として10万円以下を支払わなければなりません。
4.新たな相続が発生し、手続きが複雑になる
相続手続きが完了する前に、次の相続が発生することがあります。相次相続といいます。
相次相続が発生すると、ただでさえ面倒な手続きがさらに複雑化してしまいます。
手間・時間がかかってしまうため、早めに手続きを済ませることをおすすめします。
相続発生!相続手続き完了までのスケジュール
相続が発生してから完了するまでの流れは以下の通りです。
期限のある相続手続きとは
ここからは期限のある相続手続きについて解説します。
どんな手続きをいつまでに終えなければならないのか、ぜひ最後まで確認してください。
相続放棄・限定承認 ※3ヵ月以内※
相続した財産について、すべてまたは一部を放棄する場合、相続開始を知った日の翌日から「3ヶ月以内」に、家庭裁判所へ申述をしなければなりません。
相続放棄、限定承認とは?
相続放棄とは、プラスの遺産もマイナスの遺産も相続しない、相続権を放棄することです。
通常は、借金など負債が多い場合に相続放棄を行います。
限定承認とは、被相続人の財産がどの程度手元に残るか不明な場合、相続人が相続したプラスの遺産の範囲内で、マイナスの遺産の債務を引き継ぐ相続ことです。
相続放棄・限定承認は期限の延長が可能
相続放棄と限定承認の期限3ヵ月は、熟慮期間とも呼ばれています。
つまり、遺産の相続方法(単純承認・限定承認・相続放棄)を選択できる期間です。
遺産分割が終わらないなど何らかの事情があれば、この熟慮期間を延長することが可能です。
準確定申告 ※4ヵ月以内※
納税義務のある者が亡くなった場合、準確定申告が必要です。
相続を知った日の翌日から「4ヵ月以内」が期限となります。
準確定申告とは?
準確定申告とは、被相続人に納税義務があった場合、被相続人の代わりに相続人が確定申告を行わなければならないというものです。
準確定申告の義務は相続人全員にあります。
準確定申告が必要なケース
被相続人が下記のようなケースに該当する場合は、準確定申告が必要な可能性が高いです。
- ・自営業者
- ・副収入があり確定申告義務があったケース
- ・2,000万円以上の給与所得があったケース
- ・400万円以上の年金受給があったケース
- ・2ヵ所以上から給与を得ていたケース
準確定申告が必要かどうか詳しくは国税庁のサイトで確認できます。
少しでも心当たりがあるようでしたら、早めに確認しておくことをおすすめします。
相続税申告・納付 ※10ヵ月以内※
相続税申告と納付は、相続を知った日の翌日から「10ヵ月以内」に済ませましょう。
申告だけでなく、納付まで完了させなければなりません。
相続税申告・納付が必要なケース
相続税申告と納付は必須の手続きではありません。
相続税の基礎控除額を超えた場合に相続税を納める必要があります。
基礎控除額の計算方法は以下の通りです。
基礎控除額=3,000万+600万円×法定相続人の数
相続した遺産額が基礎控除額を超えてしまう場合、被相続人の居住地の管轄税務局に届け出ましょう。
延納・物納とは?
相続税をどうしても納付できない!
そんな時は「延納」や「物納」を利用することも可能です。
延納
延納とは、相続税を分割払いする方法です。
延納を利用できるのは以下の4つの要件を満たす場合に限られます。
- ・相続税の納税額が10万円を超えている場合
- ・相続税の納税額が100万円以上または延納期間が3年以上で担保を提供できる場合
- ・延納申請書を相続税の納税期限までに税務署長に提出した場合
- ・一度に税を納めることが困難な理由があること
延納の期間や利子税については、相続財産に何が含まれているか、担保として何を提供できたかによって異なります。
物納
物納は、土地などの「物」で直接相続税を納付する方法です。
こちらも要件を満たす場合にのみ利用することができる制度となります。
物納は延納でも相続税の納付が困難だと判断された場合にのみ、利用可能です。
遺留分侵害額請求 ※1年以内※
遺留分侵害額請求は、相続開始と遺留分侵害の事実を知った日から「1年以内」が期限です。
「母が死亡したこと」と「不公平な遺言書が遺されていたこと」の両方を知った日から1年をカウントします。
遺留分侵害額請求とは?
遺留分とは簡単にいえば、最低限相続できることが保障されている相続分のことをいいます。
法定相続人は法によって相続できる割合が定められているのです。
しかし、その遺留分を侵害されるケースがあります。
遺言や生前贈与などによって、遺留分よりも少ないあるいは全く相続できないという自体が発生することがあるのです。
遺留分が侵害された場合、侵害された相続人は侵害者へと「遺留分侵害額請求」ができます。
遺留分侵害額請求のもう1つの期限「除斥期間」
遺留分侵害額請求権の1つ目の期限は、相続開始と遺留分侵害の事実を知ってから1年以内でした。
ただし、遺留分侵害額請求にはもう1つの期限があるので注意が必要です。
このもう1つの期限を「除斥期間」と呼びます。除斥期間は10年間です。
たとえ相続が発生したことを知らなかったとしても、相続を開始してから10年経つと、遺留分の請求権は消滅してしまうのです。
生命保険金の請求 ※3年以内※
生命保険金の請求は「3年以内」が期限となります。
被相続人が生命保険に加入していた場合、保険金を受け取ることができます。
3年の期限を過ぎてしまうと保険金を受け取ることができません。
まずは被相続人が保険に加入していたのかどうか確認をしましょう。
相続登記 ※3年以内※
現状、相続登記は手続き期限がありません。
ところが、法改正により、2024年より相続登記が義務化されることになりました。
これにより相続登記の手続き期限は、「3年以内」となる見込みです。
相続登記とは?
相続登記とは、不動産を相続した場合に発生する手続きです。
相続した不動産の名義を被相続人から相続人へと名義変更する手続きのことを指します。
また、今回の相続登記義務化の法改正では、過去の相続不動産の相続登記も対象となります。
つまり、これから発生する相続での登記だけではなく、これまでに相続した不動産についても名義変更が必要ということです。
まだ相続登記(不動産の名義変更)がお済みでない方は、早めに対応しましょう。
相続税の還付請求 ※5年10ヵ月以内※
相続税の還付請求の手続き期限は、「5年10ヵ月以内」となります。
相続税の申告期限から5年です。
相続税を納付したあと、相続税に誤りがあった場合、超過分を返還してもらえるのです。
相続税を多く納付してしまう原因
以下のような事情が相続税を払いすぎに繋がります。
- ・相続税の計算を誤っていた
- ・不動産の評価額が誤っていた
- ・控除や特例を適用していなかった
あとから還付を受けることもできますが手続きが発生して面倒です。
相続税の申告時にミスがないか確認しましょう。
相続手続きは専門家に依頼すると安心です
期限のある相続手続きの種類は多く、期限もバラバラです。
そして、手続き方法は面倒で意外と時間がかかります。
ひとつの手続きにたくさんの書類を揃えなければなりませんし、相続人が多い・相続に関して揉めているなど相続自体が複雑だと手続きもより大変です。
また、法務局や税務署は平日のみ、夕方頃までしか受け付けてくれないことが多いのです。
相続手続きには基本的に期限があります。
期限内に手続きを行わないと正しく相続できないばかりか、ペナルティが課されることも。
相続手続きや相続での家族間のトラブルに不安がある方は、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
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相続手続きや遺言書作成、成年後見など相続に関わるご相談は当事務所にお任せ下さい。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずはお気軽にご相談ください。
予約受付専用ダイヤルは0120-327-357になります。
この記事を担当した司法書士
みなみ司法書士事務所
代表
光山 仁煥 (みつやま ひとし)
- 保有資格
司法書士、簡裁訴訟代理等関係業務認定、一家族信託普及協会正会員、日本財産管理協会認定会員、 成年後見センター・リーガルサポート登録司法書士
- 専門分野
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相続・遺言・民事信託
- 経歴
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みなみ司法書士事務所の代表を務める。生前におけるご自身の「財産管理」のサポートから亡くなった後の相続手続きまで最適なサポートを実施している。現在では民事信託にも力を入れており、相談者からの信頼も厚い。また、相続の相談件数1200件以上の経験から相談者からの信 頼も厚い